平成24年度は調査研究をさらに進めた。調査対象は、幼稚園、保育所、認定こども園(短時間保育)、認定こども園(長時間保育)を利用しているこどもの母親である。公立・私立、園種(2×4)が出来るだけ同数になるように調査対象の園を選んだ。その後、園長先生や役所の管轄部署の許可を頂いてから、調査用紙を各園に送付させて頂いた。そして園で、調査用紙、返信用封筒が入った封筒を保護者に配布して頂いた。調査用紙の表紙には、調査に関する説明が記載されており、それを読んで協力してもよいと判断した保護者に回答をしてもらった。回答後は、返信用封筒に入れ、投函してもらい、回収した。有効回答数は698名であった。 「ママ友関係尺度」に関して、天井効果、フロア効果のチェックを行ったところ、54項目中、3項目において天井効果、5項目においてフロア効果がみられた。よって、これら8項目を除いて、因子分析(主因子法)を行った。固有値の減衰状況から、因子数を5に絞り、因子分析(主因子法、プロマックス回転)を行った。その結果、「心理的不安定感」「母親同士のコミュニケーションにおける疲労感」「過去のコミュニケーションにおけるネガティブイメージ」「自分のこどもの対人関係に関する不安」「現在のソーシャルサポート」の5因子が抽出された。続いて各因子得点が公立・私立、園種(2×4)でどのように異なるか調べるために2要因分散分析を行った。その結果、「心理的不安定感」得点において、園種による主効果がみられ、下位検定を行ったところ、保育所と認定こども園(短時間保育)の間で有意差がみられ、認定こども園(短時間保育)の方が高値を示した。また同様の結果が「自分のこどもの対人関係に関する不安」得点においてもみられ、認定こども園を開園していく際に、短時間保育の保護者の現状、ニーズをきっちりと把握した上で、対応していく必要性が示された。
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