環境モラル教育に関する教材とその指導法を開発するために、平成22年度では、最初に、「道徳の時間」をはじめ、社会科、理科、生活科の授業において、環境にかかわった道徳(モラル)がどのように指導されているのか、という実態を文献によって全体的に把握しようとした。そこで、我が国の教育内容の基準となっている学習指導要領を分析した。その結果、道徳のみならず、社会、理科、生活の各領域においても、環境モラル教育については、内容的な不十分さが見られた。とくに、最も重要視されなければならない道徳の領域において、その不十分さが顕著に表れていた。次に、教科書(道徳の場合には、副読本と『心のノート』)を使って、環境モラル教育について分析した。ここでも、学習指導要領のときと同様に、すべての領域において、不十分さが見られた。ことに、道徳に関しては、内容の具体性や現実性が乏しかった。それに比べて、生活科では、むしろ内容の具体性や現実性が垣間見られた。 また、環境教育の分野では世界の先進的な立場にあるドイツの学校教育について文献調査を行うとともに、現地で予備調査を実施した。ドイツでは、公立学校だけでなく、とくに知識と道徳を一体として教えようとする私立のシュタイナー学校の実践にも注目した。ドイツでは、公立だけでなく、私立のシュタイナー学校においても、初等教育段階の前から、すなわち幼稚園という就学前の段階から、環境モラル教育にかかわる内容がカリキュラムに組み入れられている、ということが現地調査で把握できた。
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