研究概要 |
本研究での研究成果はこれまで、ほとんど指摘されることの無かった①不登校の経済的損失,②登校を行うためのモデルとしての大人の欠如という点が指摘されたことである。研究当初においては、中1ギャップの原因として、1.小学校と中学校の教育方針が異なるために子どもの価値観に迷いがでるのではないか,2.中学校では教科ごとに教員が違う教科担任制に変わり教師とのつながりが弱くなるからであろう,3.小学校時代の子どもの状況が中学校に伝わっていないために生ずる可能性と、小学校に比べて学習内容が難しくなり学習につまずく生徒が増えてくるであろうことを検討してきた。平成24年度においては、その結果の検討から提出された仮説を基に以下の点について検討した。1.不登校は社会の問題であること:不登校を個人の問題として考える立場と不登校を社会の問題として考える立場の教師及び保護者の意識の差についての検討.2.不登校の経済的損失について:地域、社会が子どもが学校へ行くことを大切にしているかと関連して,子どもが不登校になった場合その生涯賃金を考えると一人について社会全体の損失は計り知れないという問題を意識しているかということ.3.不登校児の自己意識の発達についてのモデルがない:これは不登校の子どもたちの問題として多くの論文で取り上げられているが,不登校児がしっかりとした自己意識を持つために,生きることについてのはっきりとした意志を持ったモデルとしての大人が生活環境の中に必要であるにもかかわらず,周りにいる大人の自己意識が浅く自己決定力が少ないということ.これらの結果については分析検討中である。
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