本年度は,三重大学教育学部における教諭免許取得必修科目である「特別支援教育入門」(1年次後期)の現状と課題を明らかにすることを目的として実施したインタビュー調査の結果を分析及び考察した。調査対象者:「特別支援教育入門」を受講した経験を持つ2~4年生27名 調査内容:「特別支援教育入門」に対する感想,オムニバス形式の授業について,授業後に自主的に取り組んだこと,学習が生かされた場面,授業で取り入れるべき内容等であった。以下,項目ごとに結果をまとめる。①オムニバス形式について:授業担当者が毎回授業者が交代することについて,16名が肯定的な意見を,11名が否定的な意見を述べた。肯定的な意見として「先生ごとに特別支援に対する思いが異なるが,それを知ることができる」「乳幼児期から小学校,高校まで,その専門の先生が話した方がより詳しく聞ける」が挙げられ,否定的な意見として「授業内容が重複する」「より深く話を聞きたい時にそれができない」「先生が固定している方が知識が順番に身につく」が挙げられた。②学習が生かされた場面:2年次に実施される介護等体験において「不安が解消された」「アプローチが少しはわかった」という意見が,3年及び4年次に実施される教育実習において「発達障害のある子どもと接したが,慌てずに落ち着いて見たり,声をかけたりすることができた」という意見が得られた。③授業で取り入れるべき内容:受講学生は,動画や写真など視聴覚資料を使用すること,先生や保護者,当事者など実際の場にいる方々による講義を取り入れること,学生自身が課題への対応を考えたり,また自身の考えについて学生同士で協議したりするなど,学生が主体的に臨める機会を取り入れて欲しいと考えていた。以上の調査結果は,全国の教員養成系大学における「特別支援教育関連授業」の質の保障を推進する本邦初の基礎的資料であり,極めて意義深い。
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