研究課題/領域番号 |
22653122
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本郷 一夫 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30173652)
|
キーワード | 「気になる」子 / 運動発達支援 / 運動調整 / 自己コントロール感 / 保育所 / サッカー |
研究概要 |
<研究の目的>2011年度は、「気になる」子どもの運動発達の特徴を明らかにするとともに、「気になる」子どもの運動に関する自己コントロール間を明らかにすることを目的とした。 <研究の方法>(1)対象:保育所の4,5歳児混合クラスの幼児。(2)手続き:「ジグザグ・マーカー取り」「的当て」「サッカー・ゲーム」を1セットとする運動発達支援を行い、その後、それらの課題についての幼児の自己評価について聞き取りを行った。(3)研究期間:2011年7月~2012年2月までの間に5回の運動発達支援と幼児の自己評価に関する測定が行われた。運動発達支援は、宮城県サッカー協会のコーチ3名によって実施され、幼児の自己評価の測定は発達心理学を専攻する大学院生、学部生によって行われた。 <結果と考察>(1)「ジグザグ・マーカー取り」「的当て」「サッカー・ゲーム」の運動得点に関しては、「気になる」子どもとその他の子どもとの間には大きな違いは認められなかった。(2)運動の自己コントロールに関する自己評価得点については、前期においては、「気になる」子どもとその他の子どもとの間で違いがなかったが、後期においては、その他の子どもに比較して「気になる」子どもにおいて自己評価が低くなる傾向が認められた。(3)すなわち、「気になる」子どもにおいては、自分が行った運動に関する自己コントロール間が次第に低下する傾向があるのではないかということが示唆された。これは、運動そのものの低下とは連動せず、他児との比較などから次第に自分の運動能力、結果について高い評価を下せなくなる傾向が「気になる」子どもに生まれるのではないかということを示唆している。この点ついては、従来、小学校高学年頃から発達性協調運動障害の子どもの運動に関する自己評価が低下することが指摘されてきたが、「気になる」子どもにおいては幼児期からそのような傾向が見られることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、東日本大震災の影響から、研究の開始がやや遅れたが、新たに導入した課題と手続きにより、「気になる」子どもの運動発達と運動コントロールに関する自己評価との関連を捉えることができた。これは、当初の計画した研究の方向に合致している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は研究の最終年度に当たるが、平成23年度に実施した方法と同じ手続きで研究を進める。但し、運動発達支援と幼児の自己評価で用いた課題については、より微妙な変化が検出できるものを探るために、新たな課題を導入する。
|