本研究では無限次に退化した楕円型作用素の準楕円性と磁場付き シュレジンガー作用素のスペクトルの性質を研究する。特にこれら2つの話題の関連を考察することによって新しい結果を導く。具体的にはベクトル場の2乗の和で表される無限次退化楕円型作用素の準楕円性とユークリッド空間の領域で定義された磁場付きシュレジンガー作用素の境界値問題の固有値あるいはスペクトルの下限等の性質の新しい結果を出すのが目的である。 本研究初年度の今年は、まず退化した楕円型作用素の非準楕円性と関連した非線形固有値問題を研究した。非線形固有値問題は非自己共役固有値問題の1つであり、スペクトル理論の中で最近最も盛んに研究されているレゾナンスや、波動方程式のダンピング項と解の減衰とも関連する重要なテーマの一つである。 この結果は研究集会第26回松山キャンプにおいて発表し、その概要は報告集で出版された。また本研究と関連した研究を行っている海外の研究者を同研究集会に招いて、講演していただき、また研究連絡を行った。この研究連絡によって本研究の新たな進展を目指したい。
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