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2011 年度 実績報告書

非線形発展方程式における動的特異点の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22654020
研究機関東京工業大学

研究代表者

柳田 英二  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80174548)

キーワード非線形 / 拡散 / 放物型 / 特異性 / 偏微分方程式 / 定性理論 / 反応拡散系 / ダイナミクス
研究概要

非線形発展方程式においては解の特異性の解析が一つの重要な研究課題となっているが,これまでは特異性の発現の過程についての研究が中心であった.ところが最近,藤田型の放物型偏微分方程式に対し,時間とともに変化する特異点を保持する解の存在が示され,新たな研究対象として動的な特異点を保持する解が認知されるようになった.本研究では,各種の非線形放物型偏微分方程式における移動特異点を持つ解について定性的な研究を行った.今年度の主な研究成果は以下の通りである.
まず,藤田型方程式と呼ばれるべき乗の形の非線形項を持つ放物型偏微分方程式に対し,解が大域的に存在するための条件について研究を行った.解が大域的であるため一つの十分条件は,初期値が特異定常解の下側にあることであるが,この場合には特異点における解の漸近展開の第2項の係数を任意に指定できることを明らかにした.このときさらに,この係数を定数とするとその値に対応した特異定常解に収束することを証明した.
次に,初期値の空間的減衰レートと特異定常解への収束レートの関係について調べた.その結果,特異ある範囲では初期値の減衰レートと収束レートの関係は線形の関係にあるが,ある臨界値で飽和することが示された.さらに,特異定常解には2種類のタイプがあり,これらが飽和する臨界値の違いで特徴付けられることが明らかになった.これは,通常の滑らかな定常解には見られない構造であり,特異定常解の挙動が数学的にも豊富な構造を持つことを示唆しているものと考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特異解の構造が徐々に明らかになってきており,現在執筆中の論文一編に加え,さらに24年度中にはもう一編の論文の準備を始めることにしている.

今後の研究の推進方策

今後は境界のある領域における特異解の存在,特に境界上に特異点を持つ場合の解の存在とその性質について研究を展開させていく予定である.ただし,この場合には境界の形状が解の構成を難しくしているが,特異点付近で座標をうまく取り直すことによって技術的な複雑さを回避できるのではないかと考えている.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Singular backward self-similar solutions of a semilinear parabolic equation2011

    • 著者名/発表者名
      S. Sato and E. Yanagida
    • 雑誌名

      DCDS-S4

      ページ: 897-906

    • DOI

      doi:10.3934/dcdss.2011.4.897

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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