研究の最終目標は、ブラックホール候補天体の超高精度撮像をして、ブラックホール候補天体が本当にブラックホールであるかを確証することである。超高精度撮像装置のひとつの候補はX線干渉計であるが、本研究の目的は、最近思いついた新型X線干渉計のアイデアの実証実験を行うことである。この実証ができれば、X線干渉計による天体観測、X線によるブラックホール撮像に大きく近づくことになる。本年度は、干渉計に使用する予定であるX線鏡とビームスプリッターを準備した。また、実験に使用するコヒーレント光源の準備、および、可視光レーザーを使った同じ光学系の配置での干渉実験と計算機シミュレーションを行った。 まず、X線鏡を実験に用いるサイズに合わせ切断し、鏡の配置の準備を進めている。コヒーレント光源として、レーザープラズマ光源はまだ用いず、他のX線発生装置からのX線を用いて、その動作を確認中である。X線はAlK-X線(0.834nm)を用い、100μmと20μmのピンホールを透過させた像をCCDカメラで撮像している。CCDカメラは24μm画素の素子から12μm画素の素子に変更し細かい像を取得できるように改良した。ピンホールにてX線発生装置の光源のサイズは130μmx420μmであることが分かった。これにより、5μmのピンホールを用いて、O-K(2.37nm)またはC-K(4.4nm)の透過光を撮像できれば、フラウンホーファー回折の干渉縞が測定できると期待できる。また、X線干渉計と同じ光学系の配置(斜入射マッハツェンダー型)で可視光による干渉実験により、干渉縞を撮像した。一方で計算機により干渉縞のパターンをシミュレーションする基本的なプログラムは完成した。現在単純な可干渉距離の扱いや、ビームの広がりの扱いをできるように改良中で、可視光による干渉縞の測定と比較検証を行っている。
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