「Brueckner-AMD」によるG行列有効相互作用の特徴は、"クラスター構造の変化の程度に依存するG行列有効相互作用(clustering dependence of G-matrix)"であること。従って、本研究の基本課題は「クラスター構造とG行列有効核力の相互規定性(依存性)の実践的解明」であり、現実的核力に基づき構築された「G行列有効相互作用によるクラスター構造状態の導出の道を確立する」ことがこの研究の目標である。この目標を達成するために、H22年度は最新の現実的相互作用(AV8')を用いて、^8Beにおけるα-α構造をもたらすG行列有効相互作用の研究を行った。 その結果、一中心原子軌道(殻模型構造)状態におけるテンソルカの抑制効果のためにクラスター構造がエネルギー的に低くなることが定量的に示すことができた。AMD波動関数は、クラスター構造の形成道筋を1粒子波動関数の構造変化「一中心原子軌道状態(殻模型構造)→二中心分子軌道状態(クラスター構造)→二中心原子軌道状態(2核分子的構造)」として、明確化する。「Brueckner-AMD」によって、その道筋に沿ってG行列相互作用が決定され、そのG行列相互作用によって道筋が決定される、という「構造と相互作用の自己無同着的機構」が解明された。これらの成果は国際会議での発表および論文として公表された。
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