現実的な波動関数を用いたオージェ中性子スペクトルについては、Giesen大学のLenske教授に新たな計算を依頼し、どのような実験条件が必要か、またどの実験標的が適しているかなどについての検討を行った。時間分解能を重視した、液体シンチレータを用いた中性子検出器に関して、Yerevan大学のMargarian教授を招聘し、共同して概念設計を行った。また、東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンターにおいて、既存の中性子検出器を用いて、本研究で達成を目標としている高い時間分解能を有する検出器でもその性能を評価可能な中性子二重散乱による中性子検出器の時間分解能測定のセットアップを行い実際に性能評価が可能であることを示した。さらには、具体的な中性子検出器の試作品を製作し、次年度に性能評価を行う予定である。また、高時間分解能RF光電子増倍管に関しては、Margarian教授との議論をもとに概念設計を行った。特に、光電面の形状および信号の読み出し部分において、要求する時間分解能を達成するために必要な各種パラメータを検討し、今後の具体的な開発を行って行く上での基本的資料をまとめた。一方、フィッション型中性子検出器については、主に検出効率の低さから実用化に向けた検討は行わなかったものの、その核となる低圧動作型の多芯比例計数管を動作させることに成功し、フィッションターゲットを組み込むことができれば、一応の動作を見ることができるところまでの開発を行った。
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