研究課題
本研究では、新しい超音波測定法を開発し、研究の空白地帯である超ウラン化合物の超音波物性の研究を行うことを目的としている。これまで、東北大学金属材料研究所量子エネルギー材料科学国際研究センター(茨城県大洗)のアクチノイド棟に設置されているスクイド磁化測定装置で動作する試料ホルダーを含む測定システムの開発、試料ホルダーの作製と、光リソグラフィーを用いた小型で100MHz領域の測定に耐える専用の電気音響変換素子の開発、専用の測定ソフトウェアの開発をを行って来た。今年度はこれらを用いて、ウラン化合物および超ウラン化合物の測定まで到達する予定であったが、東日本大震災の影響で、実験ができなかった。代わって、非放射性物質、希土類化合物や鉄系超伝導体の弾性定数の精密測定を行い、平成24年度に行う予定のパルス磁場での超音波測定やスクイド磁化測定装置を用いた測定の準備を行った。具体的には、充填スクッテルダイト化合物SmRu4P12のパルス磁場中の超音波測定、鉄系超伝導体Ba(Fe1-xCox)2As2とFe1.03(TeO.8 SeO.2)の弾性定数測定を行った。SmRu4P12の研究では、東大物性研でのパルス磁場中で音速と超音波吸収係数の磁場依存性が制度良く測定できることを確認した。この成果は、平成24年に行うURu2Si2の量子臨界点近傍の物性探査の準備として十分は成果であると考えている。また、鉄系超伝導体の研究では、超伝導の発現に対する軌道の役割について十分な知見を得ることができた。この成果は、電子の局在と遍歴というウラン化合物と共通な観点から今後の超ウラン化合物の研究に資するものと考えている。これらの成果を基に、グローブボックスの中で圧電素子を取り付けることのできる試料ホルダーの作製を行い、超ウラン化合物の物性研究を行う予定である。
3: やや遅れている
本研究課題のターゲットである超ウラン化合物のハンドリングに制約があり、超音波測定を行うための試料をセットする技術の開発に手間取っている。震災で超ウラン化合物を扱える施設の使用に制限があり、平成23年度はウラン関係の実験が行えなかった。
超ウラン化合物を扱う上での問題点については、当初から予想されていたことでもあり、最終年度に是非解決して実験を行いたい。また、平行して、ウラン化合物の研究に実験の主体を移して、本科研費の成果を上げることに集中する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
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