研究課題
他研究グループより提供していただいた小型DC-SQUID素子をNMR計測システムの低温前置アンプとして利用するための技術開発を行った。テスト用クライオスタットに組み込んだSQUIDに入力回路より数MHzまでの微小な高周波信号を導入し、低温小信号ローノイズ増幅器として十分な性能を発揮することを実証した。パルスNMRにおいては観測する信号より遥かに大きなレベルの励起信号からの漏れ込みが信号検出回路に流れ込むことがSQUIDのような高感度素子を前置アンプとして用いることの障害となっている。その問題を回避するためにQ-spoilerとして多段のSQUIDを入力回路に直列に取付けるヒととし、その動作のテストを行った。これらのテストを行い十分な知見を積み上げた上で、昨年度製作した超伝導磁気シールド付小型高均一度超伝導磁石を用いたテスト用3He-NMR測定クライオスタットに上記のSQUIDシステムを組み込んでテストを行った。しかしながらこの状況においてはSQUIDの入力回路に予備テスト段階とは比較にならぬ程巨大なノイズが混入しSQUIDの動作が極めて不安定になった。このノイズ混入の対策に苦戦し、本年度はこれ以上の発展を遂げることができなかったが、今後も継続して対策を改良することにより、実用的な状態に持っていきたいものと考えている。完成の暁には超低温MRIシステムに組み込んで世界初のSQUID-MR/MRIシステムとし、これを利用して前人未到の1ppm以下の不純物3HeからのNMR信号検出により未だに混迷しているスーパーソリッド現象の解明に一石を投じたい。
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JPSJ Online-News and Comments [December 2, 2011]