研究概要 |
シャボン膜中の音速の分散を測定することにより,表面を覆う石鹸分子間の結合力と内部の液体の結合力を分離して求めることを目的としている.膜厚との対応を得ることにより液膜の破壊機構を明らかにする.液膜を伝播する音波のモードとして,膜厚の変化を伴わない通常の音波モードと表面張力波の2つのモードの他に膜厚の変化を伴うモードが存在すると推測される.これら3つの音速と体積圧縮率(分子間結合力)との関係を簡易なモデルで明らかにした.液膜への音波の送信は,圧電セラミック素子を用い,受信にはポリマー圧電素子を用いることとした.音響インピーダンスの不整合のためセラミック素子では効率よく受信できない.それでもなお受信信号レベルが低く,単パルスで検出することは困難である.周波数掃引しながら受信信号を増幅して送信側にフィードバックし,ハウリングを生じる周波数を検出することで,共振状態での測定としノイズの低減を図る.液薄膜での音速測定にはまだ成功していないが,S/Nの向上で実現できるものと思われる.
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