高分子モノマーの入ったセル内の任意の点にUV光を照射することで、液晶セル中に高分子の柱を規則的に配置したパターンを作り込むことに成功した。その後、強い圧力のエアによって残存した高分子モノマー溶液を取り除き、代わりに液晶試料を封入することができることを見出した。ラージスケール(~10μm)の規則パターンで、局所的な配向メモリ性を持つ配向ポテンシャルの実現を試みた結果。4角格子では90度対称な2方向、3角格子(6角格子)では60度対称な3方向に安定な配向方向があることを確認した。一方で、柱の規則性の微妙なずれがポテンシャルの等価性を破ってしまうこともわかった。また、局在化した配向のメモリ性は、I-N転移温度からの冷却度に依存する配向弾性定数などに依存して変化することも分かった。強力なレーザー光による配向回転を用いて、配向を回転させることを試みたところ、該当する領域の周囲の領域における配向パターンが、配向の回転に影響を与えることがわかり、その配向回転方法に工夫が必要であることを認識できた。パターンサイズを数μm以下に減少させることはなかなか難しいが、柱表面の配向アンカリングカを調整することで、柱配置の中に配向が局在化する状態から、非局在化する状態転移を得ることができることを思いついており、今後のさらなる改良の可能性を見出すことができた。
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