研究概要 |
平成23年度は,IntelがSandy Bridgeという新しいアーキテクチャのCPUを発表したことに対応して,このCPUを塔載したPCを新規に導入し,その環境で高速動作する球面調和関数変換数値ライブラリの開発を行った.このSandy Bridgeというアーキテクチャにおいては,AVX(Advanced Vector eXtensions)という新しい命令セットが使えて,倍精度変数4個の処理が一括で行える(これまでのアーキテクチャでは2個).球面調和関数変換の中核部分であるルジャンドル陪関数変換にこのAVX命令を用いることにより,それまで開発していたライブラリに比べて1.3倍速程度の高速化に成功した.ここで開発したライブラリは,これまで研究代表者が開発してきたispackというライブラリの一部として,既にインターネット上のフリーソフトとして公開してある.AVX命令の導入での高速化の割合がそれ程高くない理由の一つは,今回の変更がルジャンドル陪関数変換の部分だけで,FFTの部分のAVX命令化がまだされていないということが挙げられる.この点の改善については今後の課題である. 以上の数値ライブラリの開発経緯および実際に開発されたライブラリの構造や性能について,平成23年8月に行われた研究集会「GFDセミナー2011」で講演を行った.また,平成24年3月に行われた国際学会「2nd AICS International Symposium」では,この科研費研究で補助を受けた以前の段階も含んだispack全体の開発経緯に関して招待講演を行った.
|
今後の研究の推進方策 |
問題点は特にないので,これまでと同様にライブラリの開発を続けていく,ただし,GPGPUやCPUのアーキテクチャの進歩は早く,また予定されたリリース情報の変更などがあることも多いので,入手できる計算機環境に対応して臨機応変に開発をしていく.
|