研究課題
本研究は,造山帯中の低温高圧型変成岩に含まれるざくろ石に包有されたオンファス輝石質単斜輝石に着目し,結晶内の秩序-無秩序転移によって生じたナノスケール微細組織(特に反位相領域のサイズ)について,電界放出型走査型電子顕微鏡と電界放出型透過電子顕微鏡を用いて解析する.低温高圧変成岩中の変形を免れたオンファス輝石の反位相領域のサイズとその多様性の規則性を温度・時間の指標として捉えながら,先進的なナノスケール加工・組織解析装置を用いて微細組織をカタログ化し,複数の閉止温度が異なる放射性同位体年代測定を相補的に加えることによって,秩序-無秩序転移カイネティクスを利用したオンファス輝石地質速度計を実用化する.研究最終年度は,これまでのデータの総括し問題点の整理を行った.また,特定の試料について分析電界放出型走査型電子顕微鏡による微細組織の特徴づけと固溶体組成決定を行った.さらに顕微ラマン分光装置を用いた微細組織マッピングと流体包有物の検討を行った.地質速度系の実用化に向けての問題点を整理する一方で,プログラム言語Rを用いたオンファス輝石の秩序-無秩序転移による微細構造(反位相領域)のサイズと温度の関係を計算するプログラムの作成を行った.普通輝石-ひすい輝石-エジル輝石系固溶体中の不混和領域(化学組成ギャップ)について,既存の熱力学データを用いて計算するための固溶体モデルの改良を自前データにもとづいて行い,地質速度計のために必要な温度情報の束縛を行った. 速度計の実用・応用については,天然試料の非平衡の程度の定量化が課題でありことも明らかになった.本研究の成果は論文をして成果を発表する予定である.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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