研究概要 |
北西太平洋の黒潮域および黒潮南方の亜熱帯ジャイヤから得られた計11本(10地点)の海洋コアの酸素同位体層序に基づいて年代モデルを構築し,優先的に解析するコアを選定した.その結果,土佐海盆MDO1-2423,遠州灘沖海山EOS-1PC,沖縄トラフ南部OTK-1PCの各コアを優先することとした.MDO1-2423コアにおいて,最終氷期から現在までの計8層準から浮遊性有孔虫の表層種(G.sacculifeとG.ruber)を拾い出し,東京大学タンデム加速器研究施設において^<14>C年代測定を行った.既に年代値が得られていた亜表層種(G.inflata)との14C年代差を求めたところ,最終融氷期初期(約15-16ka)と完新世末には年代差が小さく,完新世初期(約9000年前)に有意に年代差が大きくなる傾向を示した.これは先行研究で明らかにした四国沖コアMDO1-2422の同様の年代差と概ね一致する傾向であった.今後は,他のコアにおける14C年代差を各年代で求めるとともに,異なる生息深度の浮遊性有孔虫の酸素炭素同位体分析を進め,亜表層水塊構造の変化と14C年代差との関連を詳細に議論する
|