ローカルトモグラフィーにおいて、流体包有物を認識できるかのテスト実験をおこなった。炭素質コンドライトを模擬した試料として、流体包有物(数10μm)を含む方解石または石英粒子(数100-500μm)とカンラン石粒子(流体包有物を含まない結晶粒子を模擬)をタルク粉末(マトリクスを模擬)に埋めてアロンアルファで固めたもの(径10mm、高さ10mmの円筒状)を作成し、SPring-8のBL20B2において、投影型CT装置で2つの異なる倍率により撮影した(画素サイズ:6.67μmおよび3.33μm)。2つの倍率で流体包有物を確認できたが、今回はビームタイムの制約により、倍率を大きく変えることができなかったため、1回の撮影データについて、包有物を含む結晶粒子を囲む関心領域を小さく設定した撮影データを人為的に作り、関心領域を小さくしたときにでも流体包有物が認識できることを確認した。現在、よりよい解像度を目指して、ローカルトモグラフィーのソフトウェアを改良中である。 一方、炭素質コンドライト隕石に含まれる流体包有物のサイズは数μm程度であると考えられるので、実際の撮影には200nmの分解能をもつ結像型CTシステムを用いなければならない。この場合、物質界面におけるX線の屈折がCT像に影響を与えることが知られている。そこで、以前にCT撮影した1μmサイズの中空の有機物球状物質(ナノグロビュール)を含む隕石について、この球状物質が屈折によりどのようにCT像として再構成されるかをコンピュータシミュレーションし、界面の極く狭い領域からの屈折がCT像に比較的大きな影響を与えることを明らかにした。この結果は、現在投稿準備中である。
|