研究課題/領域番号 |
22654065
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土山 明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90180017)
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キーワード | 炭素質コンドライト / スプリング8 / X線CT / 放射光 / 有機物ナノグロビュール / CT像シミュレーション |
研究概要 |
Iterative Reconstruction Algorithmを用いたローカルトモグラフィー用のソフトウェアを開発した。これを、シミュレーションの結果および炭素質コンドライトの模擬試料(流体包有物を含む方解石または石英粒子をタルク粉末に埋めてアロンアルファで固めたもの)についてSPring-8のビームラインBL20B2でおこなった投影型ローカルトモグラフィー実験による撮像データに適応したところ、CT撮影の際に関心領域以外の領域を透過したX線ビームに起因する偽像が大きく減少することがわかった。これにより、ローカルトモグラフィーを実際におこなうことの目処がついたと考えられる。 一方、炭素質コンドライト隕石に含まれる流体包有物のサイズは小さい(数μm程度)ので、実際の撮影には200nmの分解能をもつ結像型トモグラフィーシステムを用いる必要がある。この場合には、物質界面におけるX線の屈折がCT像に影響を与えるため、以前にCT撮影した1μmサイズの中空の有機物球状物質(ナノグロビュール)を含む隕石について、この球状物質が屈折によりどのようにCT像として再構成されるか明らかにした。この結果は、国際紙に投稿し、戻ってきたレヴューをもとに現在修正中である。 放射光を用いたトモグラフィーでは、単色X線を使うことができるので、再構成されたCT像の輝度はその物体のX線線吸収係数が求められる。これを利用して、2つの異なるX線エネルギーでCT撮影をおこなうことにより、様々な相を同定する手法(Analyticaldual-energy tomography)を開発し、JAXAのはやぶさ探査機が小惑星イトカワから持ち帰ったサンプル粒子への適応に成功した。この手法をローカルトモグラフィーにも適用したい。なお手法の詳細に関する論文は国際紙に投稿し、戻ってきたレヴューをもとに現在修正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ローカルトモグラフィーの手法の目処がつき、その他周辺技術の開発(結像トモグラフィーにおける屈折コントラストの理解、analytical dual-energy tomographyの開発)はおこなえたが、実際の炭素質コンドライトへの応用まではいたらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度おこなった手法のさらなる改良をおこなうとともに、炭素質コンドライトサンプルのローカルトモグラフィー撮影実験をおこなうことにより、研究を推進して行きたい。
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