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2011 年度 実績報告書

ローカルトモグラフィーを用いた太陽系創世記の水(流体包有物)の探査

研究課題

研究課題/領域番号 22654065
研究機関大阪大学

研究代表者

土山 明  大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90180017)

キーワード炭素質コンドライト / スプリング8 / X線CT / 放射光 / 有機物ナノグロビュール / CT像シミュレーション
研究概要

Iterative Reconstruction Algorithmを用いたローカルトモグラフィー用のソフトウェアを開発した。これを、シミュレーションの結果および炭素質コンドライトの模擬試料(流体包有物を含む方解石または石英粒子をタルク粉末に埋めてアロンアルファで固めたもの)についてSPring-8のビームラインBL20B2でおこなった投影型ローカルトモグラフィー実験による撮像データに適応したところ、CT撮影の際に関心領域以外の領域を透過したX線ビームに起因する偽像が大きく減少することがわかった。これにより、ローカルトモグラフィーを実際におこなうことの目処がついたと考えられる。
一方、炭素質コンドライト隕石に含まれる流体包有物のサイズは小さい(数μm程度)ので、実際の撮影には200nmの分解能をもつ結像型トモグラフィーシステムを用いる必要がある。この場合には、物質界面におけるX線の屈折がCT像に影響を与えるため、以前にCT撮影した1μmサイズの中空の有機物球状物質(ナノグロビュール)を含む隕石について、この球状物質が屈折によりどのようにCT像として再構成されるか明らかにした。この結果は、国際紙に投稿し、戻ってきたレヴューをもとに現在修正中である。
放射光を用いたトモグラフィーでは、単色X線を使うことができるので、再構成されたCT像の輝度はその物体のX線線吸収係数が求められる。これを利用して、2つの異なるX線エネルギーでCT撮影をおこなうことにより、様々な相を同定する手法(Analyticaldual-energy tomography)を開発し、JAXAのはやぶさ探査機が小惑星イトカワから持ち帰ったサンプル粒子への適応に成功した。この手法をローカルトモグラフィーにも適用したい。なお手法の詳細に関する論文は国際紙に投稿し、戻ってきたレヴューをもとに現在修正中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ローカルトモグラフィーの手法の目処がつき、その他周辺技術の開発(結像トモグラフィーにおける屈折コントラストの理解、analytical dual-energy tomographyの開発)はおこなえたが、実際の炭素質コンドライトへの応用まではいたらなかった。

今後の研究の推進方策

本年度おこなった手法のさらなる改良をおこなうとともに、炭素質コンドライトサンプルのローカルトモグラフィー撮影実験をおこなうことにより、研究を推進して行きたい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Three-Dimensional Structure of Hayabusa Samples : Origin and Evolution of Itokawa Regolith2011

    • 著者名/発表者名
      A.Tsuchiyama
    • 雑誌名

      Science

      巻: 333 ページ: 1125-1128

    • DOI

      10.1126/science.1207807

    • 査読あり
  • [学会発表] 「はやぶさ」微粒子について行われた究極の3次元分析2011

    • 著者名/発表者名
      土山明
    • 学会等名
      応用物理学会結晶工学分科会主催2011年・年末講演会
    • 発表場所
      東京都、学習院大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-15
  • [学会発表] 小惑星探査機はやぶさが回収したイトカワレゴリス粒子の3次元構造と初期分析におけるX線マイクロCTの役割2011

    • 著者名/発表者名
      土山明
    • 学会等名
      日本鉱物科学会2011年年会
    • 発表場所
      水戸市、茨城大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-10
  • [学会発表] THE ROLE OF SYNCHROTRON RADIATION BASED X-RAY MICRO-TOMOGRAPHY IN EXAMINATION OF SMALL EXTRATERRESTRIAL SAMPLES RECOVERED BY SPACECRAFT IN THE STARDUST AND HAYABUSA MISSIONS2011

    • 著者名/発表者名
      A.Tsuchiyama
    • 学会等名
      74th Annual Meteoritical Society Meeting
    • 発表場所
      University of Greenwich, London (UK)
    • 年月日
      2011-08-11
  • [学会発表] はやぶさ回収試料の初期分析:イトカワレゴリス粒子の3次元構造と初期分析におけるX線マイクロトモグラフィーの役割2011

    • 著者名/発表者名
      土山明
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2011年大会
    • 発表場所
      千葉市、幕張メッセ(招待講演)
    • 年月日
      2011-05-26
  • [学会発表] X線マイクロCTによる炭素質コンドライト中の有機物ナノグロビュールの3次元的観察と画像シミュレーションによるCT像の評価2011

    • 著者名/発表者名
      松本徹、土山明
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2011年大会
    • 発表場所
      千葉市、幕張メッセ
    • 年月日
      2011-05-23
  • [学会発表] 小惑星探査機「はやぶさ」のサンプル初期分析とX線マイクロCTの役割2011

    • 著者名/発表者名
      土山明
    • 学会等名
      センシング技術応用研究会
    • 発表場所
      大阪市、中之島公会堂(招待講演)
    • 年月日
      2011-04-25
  • [学会発表] 小惑星探査機「はやぶさ」のサンプル初期分析とX線マイクロCTの役割2011

    • 著者名/発表者名
      土山明
    • 学会等名
      センシング技術応用研究会
    • 発表場所
      大阪市中之島公会堂(招待講演)
    • 年月日
      2011-04-25
  • [備考]

    • URL

      http://astrogranma.ess.sci.osaka-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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