研究概要 |
(1)隕石試料を用いたローカルトモグラフィーの試行 CI,CM,CRやTagish Lake隕石といった炭素質コンドライト隕石中の炭酸塩鉱物などには、流体包有物が存在することが期待される。そこで、これらの隕石試料(Ivuna隕石(CI)、Bells隕石(CM)、Murchison隕石(CM)、NWA801隕石(CR)、Tagish Lake隕石)について、SPring-8のビームラインBL47XUにおいて拡大倍率を変えてCT撮影をおこなった。しかしながら、残念なことに流体包有物を含むと考えられる試料を得ることはできなかった。 (2)分析試料加工手法の開発 もし流体包有物が存在していた場合、その定量的な3次元位置情報をもとにして、分析用の試料加工をおこなう必要がある。今回は流体包有物を含む試料を得ることはできなかったが、はやぶさ2計画など将来に備えて手法を開発しておく必要がある。このために、コンドライト隕石や包有物を含む地球試料について、収束イオンビーム法を用いて特定の部位を切り出し、必要な部分が切り出されているかを再度高分解能トモグラフィーで確認するという作業をおこない、加工手法として使用可能であることを確認した。またこの他に、ダイシングソーやおよびレーザービームを用いた加工法についても試行した。 (3)試料解析・分析支援のためのトモグラフィー手法の開発 トモグラフィーのみにより鉱物相の同定をおこなうことは、流体包有物探査にとって重要である。このための手法(analytical dual-energy microtomography)開発の論文を国際誌に発表した。また、空間分解能に近いサイズの流体包有物をトモグラフィーで認識することを目的として、CT像のシミュレーションにより実際の炭素質コンドライト隕石サンプルとの比較をおこなう研究についても、論文を国際誌に発表した。
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