研究課題
昨年度の整備に引き続き、本年度は実際に光周波数コム型レーザ光による新規吸収分光法のシステムを完成させ、合わせてその実証としてプラズマ診断に適用した。まず、光周波数コム型吸収分光法のシステムの開発について、実際のシステム系の構築に成功した。中心波長が811.5nm、約1nmの周波数広がり幅、そして周波数コム間隔が81MHzの光周波数コム光を生成した。アルゴンプラズマ生成空間にこの光を通過させ、プラズマ部を通過していない811.53nmの単一波長レーザと重畳させることで、その差周波信号をビート波として生成した。そして、フォトディテクタでビート成分をマイクロ波信号へと変換して、スペクトルアナライザで分析した。すると、81MHzおきのコム同士の干渉スペクトル(A)の出現と合わせて、その間に光周波数コム光と単一波長レーザ光の干渉スペクトル(B)が現れた。この干渉スペクトル(B)を分析すると、アルゴンプラズマ中で生成された準安定励起原子の吸収スペクトルが半値幅2GHzで得られ、また干渉スペクトル(B)のうち低周波数側のものは単一波長レーザ光の周波数で折り返して測定されることがわかり、単一波長レーザ光周波数を零点とする形でその両側の微細周波数スペクトル変化を厳密に抽出できることがわかった。この成果は、プラズマ分光分野での使用にとどまらず、微細周波数スペクトル分光が必要とされる様々な分野における診断へと適用可能と期待される。また、ここで測定対象として用いた高気圧アルゴンプラズマの放電安定化策として、有機化合物の微量添加による安定化法についての検討も行い、各時間発展フェーズにおける発光種と放電電圧・電流波形との関連を通してその機構解明を行った。
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Plasma Sources Science and Technology
巻: vol.21 ページ: 0340104-1-10
doi:10.1088/0963-0252/21/3/034004
Japanese Journal of Applied Physics
巻: vol.50 ページ: 116002-1-11
DOI:10.1143/JJAP.50.116002