研究概要 |
二本鎖DNA中に白金錯体がインターカレートすると,フリーの状態に比べて白金錯体の電解還元による白金微粒子生成速度は低下する。この低下は電極上の白金微粒子によるプロトン還元速度の低下として高感度に検知できる。従って,測定対象となるターゲットDNA溶液中に,白金錯体を加え,さらに相補的な塩基配列を持つプローブを添加し,二本鎖DNAを形成させた後にプロトン還元電流を測定することにより,高感度にターゲットDNA濃度を測定できるようになると期待される。22年度は,白金ターピリジル錯体[PtCl(terpy)Cl・2H_2O_2]を取り上げ,その電気化学特性及びDNA存在下での電気化学特性の変化について調べた。その結果,1)錯体はグラッシーカーボン電極上,-0.4V vs.Ag/AgCl付近で還元し,白金として析出すること,2)析出に伴いプロトン還元電流が急増すること,3)二本鎖DNAの添加に伴いプロトン還元電流の増加速度は抑制されること,4)その抑制速度から二本鎖DNAが定量出来ること,5)一本鎖DNA添加時には二本鎖DNA添加時に比べてプロトン還元電流の抑制効果ははるかに小さいこと,6)一本鎖DNAに相補的な塩基配列を持つ一本鎖DNAを加えて二本鎖を形成させるとプロトン還元電流の抑制効果が大きくなること,を見出し,基本的に上記の考え方でターゲットDNAが測定できることが確認された。感度の向上のためにバッククラウン度電流の小さいダイヤモンドライクカーボン電極の使用などを進めつつある。
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