研究課題
室温で液状となるフラーレン誘導体の分子設計を基に、40%以上の高密度でフラーレン部位を含む溶媒可溶な高分子微粒子を合成し、そのn型半導体としての性質を明らかにすることを目的とする。分子設計のポイントは、フラーレン間のπ-π相互作用を抑制するよう配置した3本のアルキル鎖構造にあり、分子が巨大化しても十分な溶解性を確保できる。高分子材料としての薄膜形成能と高い移動度を実証して、π共役系の電子機能を利用した有機エレクトロニクス応用の可能性を提示する。平成23度までの研究では、フラーレン(C60およびC70)を高密度で含有する溶媒可溶な球状高分子を合成する道筋を確立した。特に、共役系が拡がったC70を用いると分子間相互作用の増大により自立膜を作製できることが分かった。平成24年度は本研究の最終年度にあたるため、得られたフラーレン高分子の物性測定と有機エレクトロニクスデバイスへの応用を試験した。まず、フラーレン高分子をジクロロメタンに溶解して紫外可視吸収測定したところ、対応するフラーレンと類似したスペクトルが得られたことより特異的な共役構造が保持されていることを確認した。また、電気化学測定では-1.2~-1.3V(vs. Fc/Fc+)に明確な第一還元波を示し、アクセプター性を有していることも実証した。最後に、フラーレン高分子のクロロホルム溶液をアルミニウム電極上にスピンコートして薄膜作製し、単層デバイスとした。一定電圧を印加すると大きな電流変化が誘起され、フィラメント形成による導電パスが構築された。また、電源供給を止めると電流値は元の値に戻ったため、典型的な揮発性メモリー特性を示すことが分かった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Langmuir
巻: Vol.29,No.17 ページ: 5337-5344
DOI:10.1021/la400969f
http://www.op.titech.ac.jp/lab/michinobu/jp/index.html