研究概要 |
(1)昨年度に引き続き、クロロリチオアセチレンのクロスカップリング重合を行った。トリクロロエチレンとブチルリチウムの反応により合成したモノマー、クロロリチオアセチレンのテトラヒドロフラン溶液に各種の遷移金属触媒(パラジウム錯体、ニッケル錯体、白金錯体、鉄錯体など)を加えたところ、白金錯体を用いた場合に、黒色の不溶物が得られた。赤外吸収スペクトル解析や元素分析などを行ったところ、この不溶物中にポリインが含まれていることが示唆された。また、クロロリチオアセチレンを原料とし、シリル基、ボリル基、有機亜鉛基、スタンニル基など、種々の置換基を有するクロロアセチレン誘導体の合成にも成功した。これらの新規化合物はクロスカップリング重合のモノマーとして期待される。 (2)昨年度に合成したシクロプロペノンケタールのシリルおよびスタンニル誘導体の合成収率の改善に成功した。本年度は、これらに加えてボリル基や有機亜鉛基を有するシクロプロペノンケタールを新規な「マスクしたアセチレン」モノマーとして合成した。 (3)昨年度、合成単離に成功したジチオケタールを保護基とする新規なオリゴマー、2,3-(ビストリメチルシリル)シクロプロペンチオンの反応性についても検討した。この化合物の重合体は得られなかったが、開環をともなうシリル基の転位反応が起こり、新規な集積型二重結合を有する化合物、3,3-ビストリメチルシリル)プロパ-1,2-ジエン-1-チオン誘導体が定量的に得られた。
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