研究概要 |
Li^+によるラジカル活性種の直接安定化を期待し,電子供与性ラジカルを与えるイソプチルビニルエーテルの光ラジカル重合を試みた.2.2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)を開始剤として、モノマーと等モル量のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiNTf_2)存在下、塩化メチレン中0℃でUV-LED(375nm)の照射を行ったが、反応混合物をNMRスペクトルおよびSECで調べてもポリマーの存在を確認することはできなかった。溶媒に対するLiNTf_2の低い溶解性が一因と考えられる. 次に,F^-によるラジカル活性種の直接安定化を期待し,電子求引性ラジカルを与えるN,N^-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)の光ラジカル重合を行った.MAIBを開始剤とし、モノマーに対して約0.2モル当量のテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)存在下、トルエン中-40℃で重合を行ったが,収率,分子量ならびに立体規則性に顕著な変化は見られなかった. そこで,TBAFの代わりにメタノールなどのアルコールやLiNTf_2を添加してDMAAmの重合を行ったところ,LiNTf_2を添加した時のみ収率および分子量が増加する傾向が見られ,メゾ2連子の割合もわずかに減少する傾向が見られた.DMAAmモノマーのカルボニル基がルイス塩基であることから,Li^+と共鳴安定化している成長ラジカルの酸素ラジカルとの相互作用(C=C-O・--- Li^+)によって,ラジカル活性種が直接安定化されたことを示唆すると考えられる.
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