水を開始剤としてm-アミノベンズアルデヒドジエチルアセタールを緩慢に脱保護して自己重縮合させ、m-フェニレンイミン大環状分子Cm6が生成する過程をMALDI-TOF MSとSEC(GPC)を用いて解析し、π-スタック沈澱およびイミン結合の動的共有結合性が定量的生成において重要な役割を演じていることを明らかにした。これを利用して種々の機能基を有する大環状分子群を合成し、本手法がフェニレンイミン型大環状分子合成のプロトコルになり得ることを実証した。また、Cm6は溶液中で熱刺激により鎖状オリゴマーとの間で相互変換し、異種大環状分子の混合物から複合化大環状分子が合成可能である。イミン結合を還元することによって得られるCm6Hは、フラーレンC_<60>をDMSOなどの極性溶媒に可溶化させ、インジゴカルミンやニューコクシンなどの色素水溶液から特異的かつ可逆的に沈澱形成することがわかった。
|