研究概要 |
・電解酸化法を用いて、3,4-ethylenedioxythiophene(EDOT)やチオフェンオリゴマー2,2':5',2"-terthiophene(3T)のポリマーカチオン塩を作製した。また、固相重合反応を視野に入れて、3Tと代表的なアクセプター分子F_xTCNQ(x=0,1,2,4)の電荷移動錯体を作製した。F_2TCNQ錯体の結晶構造解析を行い、3TとF_2TCNQがring-over-bond型に交互積層していることを明らかにした。 ・6つの塩素が付加した3,5,3',4',3",5"-hexachloro-3T(Cl_6-3T)の単結晶作製に成功した。井桁型の結晶構造をもつ3Tとは異なり、Cl_6-3T分子がuniformに積層しており、面内方向でもCl…Cl原子間接触による分子間相互作用が観測された。この結果は、固相重合により高次元ポリマーの形成が可能であることを示唆している。 ・チオフェン誘導体のモノマー単結晶を用いて、温度・圧力を制御することにより固相重合反応を行い、高導電性ポリマーを作製した。電子顕微鏡を用いて、固相重合反応前後におけるモルフォロジー変化の観察を行った。また、ダイヤモンドアンビルを用いて、8GPaまでの超高圧を印加することにより、室温・高圧下においても固相重合が可能であることを見出した。この結果は、高い結晶性を維持したままポリマー化およびドーピングが可能であることを意味しており、超伝導ポリマーの開発において重要な手掛かりを得ることが出来た。
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