自律的な光駆動型DNA分子計算を開発において正確なシステム制御が必要となるが、そのための基盤反応である光応答性人工塩基であるシアノビニルカルバゾール(^<cnv>K)を用いたDNA光クロスリンク反応の架橋構造についてNMR解析を行った。^<cnv>Kを含むDNAオリゴマーを用いて光架橋後、HPLCを用いて精製したところまで本年度進めることに成功した。引き続き酵素分解を行い、架橋部分のダイマー構造を解析する予定である。また駆動型DNA分子計算システムの評価系として、標的遺伝子としてコドン12の点変異(GGT→GTT)によりガン原性を獲得するKras遺伝子の転写反応をリアルタイムPCRにより評価した6論理回路としてはNOT回路を用いており、入力した光駆動型DNAが架橋した遺伝子は転写されない系である。正常型遺伝子であるBxPC-3のテンプレート核酸のみとテンプレート核酸に^<cnv>K ODN添加したものは増幅を確認され、テンプレート核酸に^<cnv>K ODN添加してUV照射を行ったものはバンドが確認されなかった。一方、点変異型遺伝子であるCapan-1ではすべての条件で増幅を確認できた。これらは光架橋反応により正常型遺伝子の増幅バックグラウンドが低減し、点変異型遺伝子の検出感度が向上したものと考えられ、点変異検出に対して自律的な光駆動型DNA分子計算の応用例として位置づけられる。次年度は新たな^<cnv>K ODNの設計を行い、選択性と増幅抑制効率のさらなる向上を図る。最終的には光駆動型DNA分子計算システムを用いた変異型遺伝子の定量検出を行おうと考えている。
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