研究課題
昨年度の研究を通じて、超好熱性アーキアT.kodakarensisのpyrF(orotidine.5'-phosphate decarboxylase)欠損株であるKU216株を、野生株KOD1から抽出したゲノムDNAで形質転換を行うとウラシル要求性が相補されることが分かった。このことからT.kodakarensisはゲノムDNAを細胞内に取り込み、相同的組換えによってpyrFを獲得することが示唆された。今年度は、このような組換えが他生物由来のゲノムDNAを用いても起こる可能性を考え、まずはT.kodakarensisと同じThermococcales目に属するPyrococcusfuriosusのゲノムDNAの導入を試みた。宿主にはKU216株及びP.furiosusのゲノム断片をあらかじめKU216株に導入した株を用い、P.furiosusのゲノム全体またはpyrFオペロン部位が導入されるかを検討した。宿主として用いるため、T.kodakarensisKU216株のRubisco遺伝子(TK2290)上流のnon-coding領域またはchitinase遺伝子(TK1765)上にP.furiosusゲノム断片を1つあるいは2つ導入した株を作製した。導入したP.furiosus由来ゲノム断片は約1000bpの長さで本菌ゲノム上のpyrF遺伝子の近傍に位置するものとした。次にゲノム組換えが起こるかを検討するために、P.furiosusゲノムを用いて、KU216株及び作製したP.furiosusゲノム断片導入株の形質転換を試みた。その結果、P.furiosusゲノム由来の2つの断片を導入した株を宿主とした場合にウラシル要求性が相補された形質転換体を得ることができ、形質転換体の遺伝子型を解析することによりP.furiosus由来pyrF遺伝子のT.kodakarensisゲノム上への挿入が確認できた。また昨年度メタゲノム解析を行ったCaldiarchaeum subterraneumのゲノム上にユビキチン様タンパク質修飾系の遺伝子クラスターを発見し、それが実際に機能することを明らかにした。
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Nucleic Acids Research
巻: 39 ページ: 3204-3223
FEMS Microbiol Rev.
巻: 35 ページ: 577-608
doi:10.1111/j.1574-6976.2011.00265.x