研究課題
14-3-3たんぱく質は標的たんぱく質中のリン酸化セリントレオニンを含むリン酸化ペプチド配列を認識して結合し、たんぱく質間相互作用、標的たんぱく質構造変化の誘起、または細胞内局在等を制御する。このように14-3-3は、セリン/トレオニンキナーゼが制御する信号伝達系において重要な生理的役割を担っているが、その詳細は明らかではない。14-3-3たんぱく質間相互作用を解明するための低分子ツールはその信号伝達ネットワークの解明に大きく寄与すると期待される。一方、真菌の2次代謝物であるジテルペン系天然物フシコクシン(FC)類は、14-3-3のリン酸化ペプチド結合溝に隣接する疎水性間隙に結合して、14-3-3とリン酸化リガンドと安定な3者会合体を形成する。かねてからその強い植物ホルモン様生理活性が知られていたFCだが、近年、FCの半合成的構造展開から見出された透導体ISIR-042が、白血病細胞に対する分化誘導活性を示すなど、有望な新規抗がん剤リードとなり得る可能性が報告された。ISIR-042に基づくさらなる抗がん剤開発を推進するうえで、その作用機序を解明することは重要な課題である。本研究では、フシコクシン誘導体ISIR-042と蛍光タグを生体直交性反応基で連結した化学プローブにより、リン酸化リガンド依存的な遺伝子組換え型14-3-3たんぱく質および生細胞中の内在性14-3-3たんぱく質のHis164特異的蛍光ラベル化を達成した。また、リン酸化リガンドの形状とラベル化効率の関係を詳細に明らかにするとともに、抗がん剤ISIR-042の細胞内標的の同定に初めて成功した。
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