研究課題/領域番号 |
22655057
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
杉本 直己 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (60206430)
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研究分担者 |
遠藤 玉樹 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (90550236)
長門石 曉 甲南大学, 先端生命工学研究所, 助教 (30550248)
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キーワード | Protein Folding Codon / 翻訳速度 / mRNA高次構造 / 熱力学的安定性 / タンパク質構造 / 分子クラウディング |
研究概要 |
1. 翻訳速度の定量解析に向けた翻訳反応条件の検討 mRNA中の安定な構造が翻訳の伸長速度にどの程度影響を与えるのかを検討するため、モデルmRNAの経時的な翻訳過程を評価した。その結果、翻訳過程の律速段階が翻訳開始段階に存在し、一般的な翻訳反応条件では、翻訳伸長反応に焦点を当てた解析を行うことができないことが明らかとなった。そこで、翻訳反応の途中でリボソームを一時的に停止させ、律速段階である翻訳開始過程を省いた評価法を検討した。これまで翻訳反応を一旦停止させる試みは他に例がないが、我々は翻訳に必須となるアミノアシルtRNA合成酵素の一部を反応系中から取り除くことにより、翻訳途中のリボソームをmRNA上の特定の位置で一旦停止させることに成功した。また、一旦停止させた後、翻訳再開反応溶液を加えることで、同調させた形で翻訳伸長反応を再開させることができた。これにより、今後、mRNA中に安定な高次構造を人為的に挿入し、翻訳伸長反応速度との相関を評価できると考えられる。 2. タンパク質の結合が及ぼす核酸の熱安定性変化の寄与の評価 高次構造を形成してタンパク質と結合することが知られている1本鎖核酸を対象に、タンパク質結合による熱安定性の変化を評価した。その結果、タンパク質結合による核酸構造の安定化への寄与は、一般的なカチオンによる核酸安定化とは異なる機構で関与していることが明らかとなった。このことから、mRNAの構造安定性に対してもタンパク質結合が特異な影響を及ぼしていると推察され、mRNA高次構造へのタンパク質の結合もProtein Folding Codonの一端として関与していることが考えられる。
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