シアノビフェニル基をメソゲン基としメソゲン基と主鎖の間のスペーサー長が種々異なる液晶性ブロック共重合体の、液晶化とミクロ相分離の相関によって生じる階層構造とその形成過程を、シンクロトロン放射光を線源とする時分割小角散乱法により明らかにした。スペーサー長の短い液晶性のブロック共重合体は、スメクティック構造を示さずネマティック構造であった。メソゲン基の配向は、すべて、ミクロ相分離界面に平行であった。また、ラメラ状ミクロ相分離構造を有する融体からの液晶化においては、同じラメラ構造を形成するが、ミクロ相分離構造が不連続的に変化し、その過程で液晶構造はネマティックを経てスメクティック構造を形成することが明らかになった。これらの知見は、液晶相の規則的配置にとって重要な知見である。 さらに、紫外光照射によるトランス-シス異性化により液晶-等方相転移を引き起こすアゾベンゼン基を有する液晶性ブロック共重合体について、ミクロ相分離構造の紫外光照射のON/OFF応答性を、数秒毎の時分割小角X線散乱法により検討した。その結果、紫外線照射・非照射による液晶-等方相転移に伴ってミクロ相分離サイズの応答が認められた。その応答性は可逆的であり繰り返しにも同じ応答を示した。このことは、光によるパターニングの可能性を示す。 また、比較的分子量の小さいエチレン-イソプレンブロック共重合体における無秩序融体からの結晶化において、非常に規則的な層構造が形成されることを見出した。
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