高調は損失により試料の非線形光学応答が計測できるかを確認するため、金ナノ粒子を試料として、超短パルスレーザー光を集光し、得られる反射光の強度を測定した。光源にはチタンサファイアレーザー光を用い、その第2高調波発生による520nmのレーザー光を対物レンズを通して、試料に照射した。金ナノ粒子からの反射光強度を、入射するレーザー光の強度を変化させながら計測した結果、入射するレーザー光の強度が低い場合には、反射光の強度は入射レーザー光の強度に比例し、入射するレーザー光の強度を大きくするにつれ、反射光の強度が飽和する現象を確認した。同じ試料を複数回観察した場合でも同様の結果が得られたことから、反射光強度の低下は、試料の損傷ではなく、高調波発生等の非線形な光学応答の結果もたらされたと考えられる。同様の測定を、非線形光学結晶(BBO)にを試料とし、波長800nmの超短パルスレーザーを光源として行った結果、結晶表面の反射率が入射光の強度に対して非線形に応答する結果が得られた。非線形応答を分離検出するため、レーザー光強度を変調させながら、得られる反射光、透過光の高調波復調による検出を試みたが、レーザー出力の時間変化が原因で、微弱な非線形応答成分を分離検出することができなかった。レーザー出力の時間変化は、数MHz程度の周波数領域では、比較的小さいため、今後、高い周波数でのレーザー強度変調光学系、および周波数解析装置を導入し、高い信号対雑音比で非線形応答の信号が可能なの光学系システムの設計を行った。
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