研究課題
本年度は、ランダムフォトニック結晶における局在モード特性を重点に解析した。フォトニック結晶の各空気ホールが、ランダムな方向に遷移するようなランダムネスを導入し、各々の空気ホールに対し、ホールシフトする量とホールシフトするホールの数を制御し解析した。360 THzのモードは、フォトニック結晶状態でQ~6000に対し、60%のホールを40 nmホールシフトしたランダムフォトニック結晶構造ではQ~14000を得た。そして430 THzのモードは、フォトニック結晶状態でQ~5000に対し、100%のホールを30 nmホールシフトしたランダムフォトニック結晶構造ではQ~13000を得た。以上からフォトニック結晶へのランダムネスの導入に伴い、バンドギャップ両端においてSlow Bloch Mode がアンダーソン局在し、フォトニック結晶状態のSlow Bloch Modeよりも高い共振Q値を示した。しかし、ランダムネスを過度に導入することで、バンドギャップが消滅することから、アンダーソン局在は崩壊し、系全体に光が拡散したので、共振Q値は非常に低くなった。これにより、ランダムネスを導入する時にホールシフトさせる距離やホールの個数において適切な条件をとることでフォトニック結晶内を伝搬するSlow Bloch Mode波を高Q値のアンダーソン局在モードとして閉じ込めることが可能であることを明らかにした。将来展望としては、フォトニックバンドギャップが崩壊する過程についてより詳細に検討することで、バンドギャップを保持しつつランダムな構造揺らぎを与える新構造の提案・実証が求められる。これにより、より光閉じ込め効率の高いアンダーソン局在を促す構造が得られれば、高共振Q値・小モード体積が要求されるマイクロ光技術へ展開が可能となる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Progress in Quantum Electronics
巻: 36 ページ: 194-271
DOI:10.1016/j.pquantelec.2012.03.006