研究課題
この研究の目的は、呼気分析に基づく非侵襲検査へ展開することである。呼吸の主な機能は、酸素を二酸化炭素と交換することであるが、肺胞におけるガス交換によって、血液中に存在する揮発性化合物も呼気に含まれる。したがって、血液中に含まれる疾病に由来する揮発性の分子は呼気の分析によって見つけることができる。我々は、アルカン(メタン系炭化水素)に着目して、酸化ストレスの呼気を用いたスクリーニングとモニタリングの実現を目指している。アルカンは、脂質の過酸化(細胞損傷の指標)と関係している分子である。過酸化物は、細胞膜の脂質から電子を奪い、細胞を破壊する。この酸化ストレスは多くの疾病に関連しており、呼気中のアルカンを計測することは、簡易な疾病スクリーニングの実現につながる。酸化ストレスが関連する疾病としては、肝疾患、全身性硬皮症、アルツハイマー病、肺がんなどがある。アルカン分子の共鳴波長は赤外領域に位置する。呼気センサーに関する、医学調査から得られた結果に基づき、光学シミュレーションによってPlasmonic Vibrational Sensor (PVS)を設計した。光学シミュレーションには、RCWAとFDTDを用いた。測定対象の疾病バイオマーカーの共鳴ポイントの位置は赤外領域であり、金属薄膜上の開口配列も赤外領域に合わせて設計した。今後、電子線直接描画とリフトオフプロセスを用いて、設計した開口配列を試作する予定である。
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Proceedings of SPIE
巻: 7904 ページ: 24
The Institute of Electrical Engineers of Japan, Transaction on Sensors and Micromachines
巻: Vol.130-E ページ: 317-320
http://v3.espacenet.com/publicationDetails/originalDocument?CC=WO&NR=2011027899A1&KC=A1&FT=D&date=20110310&DB=EPODOC&locale=en_EP