次世代を担う半導体である窒化ガリウム(GaN)は、すでに実用化されているものの、有効な表面処理法が確立していない。表面は界面の始まりであり、デバイスの微細化により表面(界面)の状態がデバイスの特性を左右することから、表面の清浄化及び構造の解明が求められる。そこで本研究では、表面計測に基づくGaNエピタキシャル成長前の基板表面の作製技術の開発を目的とし実験を行った。超高真空中での加熱、スパッタリング、溶液によるエッチング処理を組み合わせ、原子レベルで平坦なGaN(0001)表面作製法を構築した。 希釈酸・塩基溶液によるエッチングと加熱を組み合わせた処理では、各溶液の最適エッチング条件を確立し、HF溶液でエッチングした場合に2×2超構造をもつ平坦で清浄な表面の作製に成功した。開発した湿式洗浄法では、基板の種類(ドーパント、結晶性など)によらず有効であり、本研究での成果はGaNの基板表面の汎用表面清浄化手法なるという大きなものである。 表面の清浄化により、最大120倍という発光特性の向上に成功した。表面の自然酸化膜、ダメージ層との界面にある欠陥サイトが無輻射発光中心になり、それらを清浄化によって除去することとにより発光効率の向上につながった。これまで、表面の状態が発光特性に影響を与えるという通説があったが、本研究はそれを科学的に裏付ける成果であり、基礎科学的にも応用の観点からも重要度が高い。
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