平成22年度は、全反射プリズムと回転型レオメーターを組み合わせることにより、ゲル-ガラス摩擦界面のin-situ観察を可能にする観察装置の開発を行った。 具体的には下記の項目を実施した。 1)全反射プリズムの設計と作製 全反射によるゲルとガラス基板の接触を直接測定するため、ガラス基板としての役割を備えた台形プリズムを設計した(材質BK-7、厚さ2mm、底角70°、底面66mm角)。設計に基づいて台形プリズムを試作し、ゲルとガラス基板の接触の様子を全反射条件近傍で明確に観察できることを確認した。 2)in-situ観察用の全反射光学系の設計と構築 ゲルとガラス基板の摩擦測定に適したレオメーターとしてARES-2を選択した。円形のLED照明を検討したが、結果的には一方向からの照明が適していることを確認した。高感度白黒CCDカメラを選択し、全反射光学系を構築した。 3)摩擦測定用ゲルの調製 さまざまなゲルを検討し、適当な均一性、透明度と弾性率から、10wt%のPVA物理架橋ゲルを選択した。 4)ゲル摩擦界面のin-situ観察-流体潤滑層形成の直接観察 厚さ2.4mmのPVAゲルを用いたところ、7.6μ~0.29m/sの摩擦速度範囲で摩擦界面の観察に成功した。 また、ゲルとガラスの界面に形成される薄い液体層の挙動を調べる為に共焦点レーザー顕微鏡による界面観察を検討した。さらに、薄膜干渉流動画像法(FIFI)の装置を試作し、高分子添加が薄い液体層に生じる乱流を抑制する効果があることを観察した。
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