研究概要 |
本研究課題では,次世代内視鏡のために,ER(電気粘性)流体を応用した形状適応機能を有するヒモ形アクチュエータの提案および開発を行う.平成22年度に得られた主な成果は以下のとおりである. 1.形状適応機能を有するヒモ形アクチュエータの提案と基本ユニットの構造の検討: 平行平板電極間にER流体を流し,印加電界による見かけの粘度変化でER流体の流れを制御するデバイスをERバルブと呼ぶ.ERバルブの一方の電極を間隔方向に可動とすると,外力に応じて可変ERバルブの圧力が変化する.この圧力変化で動作する流体アクチュエータにより,外力が低下する方向に可変ERバルブを支持する関節を回転させる機構を基本ユニットと呼ぶ.提案するヒモ形アクチュエータは,この基本ユニットを直列に接続してヒモ構造を形成し,各部に作用する外力が低下するように分散制御を行うことで、相手の形状に適応する。本年度は,その液圧系について考察を加え,可変ERバルブの圧力変化を積分し関節角を定めればよいことを見出し,液圧回路の構成を明らかにした. 2.ゴム製屈曲アクチュエータのFEM解析,試作および特性実験: 直径5mmの極細内視鏡を屈曲させることを想定した,ゴム製屈曲アクチュエータの構造を考案し,現有のFEMソフトウェアを用いて印加圧力に対する屈曲角を求めるとともに,各部の寸法の効果を明らかにした.さらに,シリコーンゴムを用いて幅5mm,高さ2.5mm,長さ10mmのアクチュエータを試作し,圧力100kPaを印加したとき,屈曲角100°が得られることを実験的に確認した.
|