本研究では、誘電体バリア放電による空気プラズマ流を発生させる管内での微粒子撹絆および搬送の基礎特性として、管内に誘電体バリア放電を発生させるDBDプラズマチューブを製作し、流れがない状態でのプラズマ生成実験を行い、高電圧印加時における基礎放電特性やオゾン濃度生成特性、管内での微粒子搬送挙動を明らかにした。さらに、数値解析により二重螺旋電極を有する管内の3次元電位および電界分布かち微粒子に働く静電気力を求め、プラズマアクチュエータ効果による誘起流を考慮し、管内での微粒子挙動を明らかにした。得られた結論を以下に要約する。 (1)DBDプラズマチューブは流れのない状態からの電圧印加により、プラズマアクチュエータ効果による流れを誘起することができる。微粒子は、DBD放電により管内に誘起される流れおよび静電気力との相乗効果により撹拌されつつ搬送される。PIV計測により印加電圧Vpp=14.3kV、周波数f=1.0kHzの作動条件の下で、管出口において最大で0.56m/sの誘起流が観測された。 (2)二重螺旋電極を有する管内の3次元電位および電界分布から、微粒子に働く静電気力を解析し、さらにプラズマアクチュエータ効果を考慮した近似的な速度分布を与えることによって、微粒子の搬送挙動を示した。管壁近傍の粒子は、電極近傍の電界強度の大きい領域において半径方向に激しく振動しながら、誘起流によって軸方向に搬送される。さらに、粒径が10μm以上の粒子は、振動しながら管中心に移動し、螺旋状に旋回しながら搬送される。 (3)粒子の初期位置が管壁に近く、粒径が小さい場合では慣性力が小さく、流れと静電気力の影響を受けやすいため、軌道が変化しやすく、管中心近傍まで搬送されるため、粒子の軸方向排出速度は増加する。一方、粒子径が大きい場合、帯電量が大きく、粒子に働く静電気力が増加し、慣性力および重力も大きいため、緩やかに大きく振動しながら管中心近傍に輸送されるため、主流により粒子が加速されやすく、粒子の軸方向排出速度が増加する。
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