研究分担者 |
津田 理 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10267411)
谷貝 剛 上智大学, 理工学部, 准教授 (60361127)
新冨 孝和 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (10016082)
槙田 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30199658)
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研究概要 |
持続性のある低炭素社会を構築するために再生可能エネルギーの有効利用は人類の喫緊の課題である。その代表である風力や太陽光発電は気象条件に大きく左右され,時間的に変動する電力となるので,品質の良い電力として使用するには問題がある。変動のない品質の良い電力を得るために,変動する再生可能エネルギーの発電波形を比較的ゆっくりとした平均的なトレンド成分と,急峻に変動する成分に分解し,それぞれに適した貯蔵装置を適用して今回は一定の電力波形となるように電力制御を行った。 トレンド成分は時間積分すると大きなエネルギーとなるので,無限に近く貯蔵できる水素と,それを燃料とする燃料電池で構成した貯蔵発電装置を用いた。一方,激しい変動成分は時間積分するとほぼゼロになるので、大電電力を瞬時に,かつ,高効率で入出力できる超伝導電力貯蔵装置を用いた。燃料電池は指令が出てからある時定数の遅れを持って定格運転に達するので,事前に定格となる時刻の平均電力を知る必要があり,再生可能エネルギーの時系列データにカルマン・フィルタを適用して,エネルギー波形のトレンド予測を行った。 実際の風力波形を用いて予測シミュレーションを行った結果,予測値と実際の出力には僅かなずれが生じるが,平均値の予測では,約10%以内となることが分かった。予測方法として良く用いられる単純な移動平均法とカルマン・フィルタ予測を比較した結果,カルマン・フィルタ予測は精度が高いことが分かり,大電力を瞬時応答によって補償するSMES容量の最適化が可能となり,有効な予測方法であることが分かった。
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