研究課題/領域番号 |
22656070
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
植杉 克弘 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70261352)
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キーワード | 量子ドット / 自己組織化 / 選択成長 / エピタキシャル |
研究概要 |
本研究では、量子情報通信用単一量子ドット光源を実現するために、正孔局在型lnGaSb系量子ドットの作製技術を開発することを目的とする。半導体量子ドットは主として基板との格子不整合差を利用したSKモードにより作製されるが、ドットの低密度化やその生成位置を制御することが難しい問題がある。これまでに有機金属(MO)原料分子と表面との反応を制御することで、GaAs(001)基板上にマスクなしで10^6cm^<-2>の低密度でサブミクロンサイズのメサ構造を作製する手法を開発した。選択エッチングによりその上部に円形の(001)ファセットが形成でき、そこに井戸幅揺らぎを利用してディスク状lnGaSb量子ドットを形成することにより単一量子ドット光源が可能になる。当該年度では成長温度とMO原料供給量の制御を進め、メサ構造のサイズを直径300~640nm、高さ80~180nmで制御可能になった。さらにバンドオフセットを制御するためAsを添加したGaAsSb混晶のメサ構造作製を進め、頂点が直径120nmの円形(001)ファセット、側面は{111}と{110}ファセットで構成されたGaAsSbメサ構造が10^6cm^<-2>台の低密度で自己組織的に作製可能になった。また、トリスジメチルアミノアンチモン原料を用いた表面反応制御により、GaAs基板上に高さ6nmで、直径400nm、幅50nm程度のGaAsナノリング構造を自己組織的に形成できる。その直径制御および表面平坦性の改善を行い、量子ドットの選択成長制御を進めた。2個の量子ドットがナノリング上の[1-10]方向に沿って対に形成され、(411)Bファセット上に選択的に成長されることがわかった。マスクレスで自己形成したメサ構造およびナノリング構造を利用することで、10^6cm^<-2>台の低密度で生成位置を制御して量子ドットを作製することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
表面反応を制御した正孔局在型量子ドット構造の作製はおおむね順調に進展しているが、光学特性の改善が遅れており、ヘテロ界面制御をさらに進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
MO原料のジメチルアミノ基による表面エッチングやInやSb原子の表面偏析によりヘテロ界面の急峻性の劣化を防ぐため、窒素ラジカル源を現有装置に組み込んだ。窒素ラジカル照射により表面を安定化させ、急峻な界面のヘテロ構造を作製することにより、光学特性の改善を行う。
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