研究課題/領域番号 |
22656080
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
前澤 宏一 富山大学, 理工学研究部(工学), 教授 (90301217)
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キーワード | 共鳴トンネル / 弾性波 / 表面音響波 / 伝送線路 / 異種材料集積 / InP / 増幅器 / 発振器 |
研究概要 |
格子歪は伝導帯変形ポテンシャルを介して伝道帯端のエネルギーを変調する。この効果は通常非常に小さく、電子デバイスに与える影響は小さい。本提案では、音響波と素子の相互作用を強くするため、RTDを分布定数化した伝送線路を構成し、表面音響波を作用させることでその効果を増大させることを試みる。これにより、表面音響波によるダイナミックな周期構造と素子中を伝播する超高周波電気信号の結合という新しい効果が期待できる。 本年度は上記現象を実現するため、RTDを装荷したアクティブ伝送線路について研究を進めた。特に伝送線路の両端で信号を反射させることにより可能となるアクティブ伝送線路発振器の特性についてシミュレーションにより調べた。その結果、基本波は半波長が伝送線路長と一致する所で発振するが、9次という非常に高い次数の高調波が発生することがわかった。この高次高調波が安定して得られれば、表面弾性波と基本波のロッキングを利用してTHz波を表面弾性波で制御することが容易に可能になる。ここでは、この高次高調波生成のメカニズムを検討し、その安定性についても調べた。その結果、高次高調波は、伝送線路の構造に起因する共鳴バンド(パスバンド)周波数の信号と、基本波信号のロッキングにより生じていることが明らかになった。 一方、格子歪のRTD特性への影響を調べるために、新しいフォトマスクを設計した。ここで、全く新しいアイデアとして、歪みによるRTDの電流-電圧特性の変化を周波数変調△ΣAD変換器により検出することを提案した。この方式は、非常に高感度に変化を検出できることが特長である。現在、マスクが納品され、試作の準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伝送線路発振器について新しいアイデアを提案すると共に、作製プロセスが確立し、次年度の実験的検証の準備が整ったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に書いたように新しい歪によるRTD特性の検出方法を提案した。この方式は非常に感度が高く、歪の効果を得やすい。そこで、まずは、この方式による格子歪の利用について検討していくこととする。
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