研究課題
未来超音波通信システム用超音波源として、カーボンナノチューブ(CNT)ウェブを用いた熱音響型スピーカーを製作し、以下の成果を得た。(1)周波数特性の結果、可聴域から超音波領域(100[Hz]~100[kHz])まで広帯域な音波発振を確認した。(2)可聴域の周波数特性は6[dB/oct.]の傾きを持つ。(3)超音波領域の周波数特性は広帯域且つフラットである。(4)電極間の抵抗値が同一であれば、単独CNTの長さと出力音圧に優位差は認められなかった。(5)様々なドライブモードによる出力特性を詳細に測定した結果、入力電力と出力音圧は比例の関係にあり、出力音圧は熱起因、つまり熱音響効果で発生していることを確認した。(6)高調波歪率は、可聴域では周波数依存係数によりドライブモードにより、出力音圧の周波数依存性指標によって整理・説明することができた。また高調波歪率は20[kHz]以上の超音波領域において急激に低下することがわかった。(7)優れた超音波過渡応答性から、CNT本体から空気への温度振幅による圧力変換が入力信号に高速で追従し、熱→音波変換されていていることがわかった。(8)音波発生メカニズムについてモフォロジー的な観点およびヒートダイナミクスから検討し、CNTウェブスピーカーはウェブ中に存在する独立CNT同士の分子間力によるコンタクトポイント、すなわちナノ音源の集合体であるというモデルで説明できることがわかった。以上のことより、CNT)ウェブを用いた熱音響型スピーカーは未来超音波通信システム用超音波源として利用できることがわかった。
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Carbon
巻: 49 ページ: 2437-2443
doi:10.1016