研究概要 |
SiP(System in Package)の3次元実装やMEMS実装においては、低温での実装が可能で、実装後の高い信頼性が求められている。従来のソルダリング実装では、実装後の拡散により、接合界面組織が変化をして、長期信頼性確保が難しくなっている。本研究は、低融点金属を含む接合材を薄膜を積層供給し、接合プロセスにより、組織的に安定な合金層を形成させ、長期信頼性の高い実装を目指すものである。 本年度は、Siチップと基板の銅電極間にSnとCuを薄膜供給し、Snの溶融温度(505K)以上の温度で、接合時間を変化させて接合を行い、接合部界面の組織観察(光学顕微鏡,EDX付属走査型電子顕微鏡,透過型電子顕微鏡)により、界面反応過程を明確にした。実装プロセス中では、最初にSnの液相とCuの固相間の反応が生じ、この反応によりCu_6Sn_5が形成され、Snの液相が消失して、その後、固相反応によりCu_3Snの安定合金層が形成されることを明らかにした。このCu_3Sn合金は650Kの高温でも高強度であり、熱劣化も生じない。また、接合材を薄膜多層供給することで、短時間でCu_3Snの安定合金層形成を可能とし、反応時間は、接合温度およびSnとCuの供給膜厚、層数によりコントロールできることを明らかにした。 さらに、パワーデバイスの実装への適用を検討するため、鉛フリーはんだ材料による実装部の信頼性評価(パワーサイクル試験)に関して検討を行い、接合材の高温特性および実装時のボイドが信頼性に大きく影響することを明らかにした。
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