研究課題/領域番号 |
22656092
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 衛 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20210560)
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研究分担者 |
齋藤 享 (独)電子航法研究所, 通信・航法・監視領域, 主任研究員 (40392716)
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キーワード | 衛星ビーコン観測 / 電離圏 / GPS / 計算機トモグラフィ / 電子航法 |
研究概要 |
わが国では全国1000点以上の観測網が国土地理院によって整備されており、30秒毎の電離圏全電子密度(Total Electron Content ; TEC)値が得られる(GPS-TEC観測)。一方、研究代表者らは、高度700km付近を飛翔する低高度衛星から地上までのTEC値を計測するディジタル受信機を開発している(衛星ビーコン観測)。本研究では、(1)この2種類の電離圏TEC観測を組合せ、新世代の電離圏複合トモグラフィを研究開発する。(2)JAXA宇宙科学研究所による観測ロケット実験で実施されるロケット搭載ビーコン観測に参加する。(3)さらにGNSS(GPSをはじめとする電子測位)に基づく航空航法についての研究を行った。 平成23年度には、(1)に関連しては、衛星ビーコン観測のみに基づくトモグラフィ解析とFORMOSAT-3/COSMIC衛星によるGPS掩蔽観測からの電子密度分布の比較研究が実施され両者がおおむね一致し衛星ビーコン観測トモグラフィが極地的な分布を表していることが明らかとなった。また衛星ビーコン観測点が孤立している状況においても、東西方向の電子密度の分布が経度に対して直線的に変化するという過程を用いることによって絶対TEC値を求め得ることが分かった。この手法はさらにGPS-TECと比較することでTEC値の南北分布についても適用可能ではないかとのアイデアを生み検討が始められた。(2)については延期されていた観測ロケットS-520-26号機の打上げが2012年1月12日に実施されロケットビーコン観測のデータを地上6カ所に展開した受信点から得ることに成功した。最後に(3)に関連しては、電離圏電子密度の水平分布によって生じる電離圏遅延の空間変動がGNSS利用の航空航法に与える影響について引き続き調査を行った。ION GNSS 2011における調査において、米国では様々な宇宙天気情報を航空機の運航に役立てる試みが進んでいることが分かった。また電子航法研究所(調布市)に衛星ビーコン観測点を設置し観測を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
JAXA宇宙研究所が行う観測ロケット実験は、当初平成22年度夏季に行われることとされていたが、平成23年度に延期となり、実際の打上げは2012年1月になってしまった。そのため当初の計画に対してやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に遅れを取り戻すべく研究を進める。別の研究経費によってインドからポスドク1名が1年間の予定で京都大学生存圏研究所を訪問することとなったが、米国の大学でGPS-TEC観測網の開発に関わった経験を持つ研究者であるため、本研究の推進に役立つと期待している。
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