研究概要 |
22年度は,初年度として,1)離散時間非線形システムに対するハイブリッド抽象化モデリングの開発,2)ベイズ推定による環境状況の推定手法の開発,のための基礎的な研究を行った.まず,連続状態も組み込んだハイブリッド抽象化モデルの開発に向けて,新しい抽象化の概念から見直す必要が生じたため,まずは広い範囲で適用可能な新しい離散抽象化の概念を定義し,離散抽象化による近似誤差の定量的評価など,その基礎理論を構築した.また,ハイブリッド離散抽象化をさらに推し進めた,多分解能的抽象化の発想のもとで,最適制御問題を解くまでの新しい枠組みの構築を試みた.これにより,ハイブリッド抽象化モデリングに向けた一つの基礎理論が構築できた.また,外部環境に開いたリアルタイム最適化の観点から,環境の変化により歩行モードを切り換える際に省エネルギ化を実現する2足歩行ロボット,外部環境としての複数のスラブがつぎつぎと挿入される鉄鋼の再加熱プロセスおよび鋳型プロセス,そして,非線形多体モデルを例にとり,新しいモデリング手法や評価関数の離散化などを論じた.これらの具体的な例を通して,ハイブリッド抽象化を中心とする近似モデリングの基礎理論構築に向けて,実用的な視点から新たな課題を検討した.つぎに,外部環境状況の推定に関しては,ベイズ推定の一手法であり,非線形システムに対して非常に強力なアンセンテッドカルマンフィルタを用いた推定手法を用いて,非線形システムが未知の場合でも有効になる場合があるかどうかについて数値例により,今後の問題点を整理した.
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