研究概要 |
本年は,サンプル値制御理論を用いたフィルタを用いて微分方程式の差分解法のシミュレーションの検討から始めた.その結果,通常の基本的な線型集中定数系についてはまずまずの結果が得られたものの,系の時定数に大幅な開きがある,いわゆるスティッフな系や大きな入力の入る系などについては必ずしも期待した結果が得られないことが明らかになりつつある またそもそも,これまでのサンプル値制御理論を応用したフィルタ理論では,得られるフィルタが1入力1出力であったのに対し,数値解析では多入出力系を扱わねばならない,これらについては現在フィルタの設計手法を確立したため,シミュレーションを含めた解析を23年度の早期に取り組む予定である その他今年度の成果の主なものとして,入力信号にもともと位相遅れ歪が存在していた場合,それをディジタル処理によって取り除くことが可能であることが見出されたことがある.これは音響,音声復元においてことに有効であり,復元逆問題の解とも見なせることから,今後の逆問題への展開が期待される.これは具体的には,観測過程において仮想的に位相遅れ歪が存在するものとして,設計フィルタにその逆特性を持たせることによって,中間周波数から高域周波数に対して,通常存在する位相歪を低減するフィルタの設計を可能とするもので,音響,音声の逆復元には非常に有効である.次年度以降はこれの画像処理や一般逆問題への展開を検討したい
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