本研究の目標は、国際プロジェクトマネジャー育成のためのマネジメント教育プログラムの開発にある。本研究では、国際建設プロジェクトにおいて、日本人が不得意と言われる契約マネジメントを対象に、将来のマネジメント教育プログラムに活かすことを想定し、契約文化の計測と評価の手法を開発することを目的とし、以下を実施した。 (1)国際プロジェクトにおける契約マネジメント上の課題の分析 国際プロジェクトの経験豊富な所長(プロジェクトマネジャー)を対象に、インタビュー調査を実施するとともに、海外の建設現場を訪問し、国際プロジェクトの契約マネジメント上の課題を抽出した。 (2)国内外の契約制度の比較分析 ベトナム、フィリピンで実施された公共工事プロジェクト(ODA事業)で用いられた契約図書(一般条件書と特記条件書)を国内の標準契約約款と比較分析した。さらに、ベトナムおよびフィリピンの国内の公共工事で用いられる標準契約約款を含めて、言語学およびテキストマイニングの手法を用いた比較分析を合わせて実施した。 (3)国内外の契約文化の比較分析 (2)で選定された工事における契約文化を契約書の特記条件書および関係者へのインタビューに基づく契約の運用の実態から明らかにし、各国の比較分析を試みた。
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