研究概要 |
通常の地盤のように固体と考えられる媒質では,表面に沿って表面波が励起して伝播することが知られている.一方,水のような液体では,液面において海の波のように重力の影響による波,すなわち重力波が励起して伝播する.液状化地盤や軟弱な堆積層の地表面に波が励起する場合,単純に固体として考えることも液体として考えることもできないため,その中間的な性質をもつような波(重力波)の存在が考えられる.具体的には,重力の影響を受けて通常の表面波と小田なる特徴を有する波となることが考えられる.そこで,本研究では,地盤材料の非線形性,得に液状化による影響を考慮して,地表を伝播する重力波の存在と,その性質について議論し,種々の地中構造物や地上構造物に与える影響について検討している.昨年,東北地方太平洋沖地震が発生し,東北地方から関東地方にかけての広い範囲で液状化被害が報告されている.特に東京湾沿岸部と茨城県霞ヶ浦周辺では液状化被害が深刻であった.昨年度はその被害調査も実施し,被災メカニズムの分析を進めている.また,基礎的な事項として,S波速度が有限値である固体のように振る舞う地盤から液体のように振る舞う液状化状態までを統一して記述できる支配方程式を定式化し,これを反映した非線形有限要素法,有効応力解析プログラムの開発を続けている.
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