本研究では成長著しいIT技術に着目し、実スペースとサイバースペースに展開する個人の動きの代替・補完関係を掌握することを通じ、その両方(トータルスペース)を適切にマネジメントする手法の新規開拓を目的とする。具体的には、投入産出分析よりヒントを得た全く新たな行動連鎖分析の理論的枠組みを提案するとともに、サイバー行動実験などに基づく多方面からの分析によってその実証を行う。現在の「都心」vs.「郊外」の次に来る時代に求められる、空間全体の適切なマネジメント方策の道すじを見出すことを目的としている。以上の目的意識をもとに、最終年度として下記の2つの取り組みを実施した。 1)サイバースペースへの移行要因分析:トータルスペースマネジメントを実現するためには、どのような理由で実スペースからサイバースペースに行動が移転しているかを明らかにする必要がある。ここではWeb調査を通じ、移行した個別の交通行動に対し、その属性と実態を把握することを通じ、統計的な観点からサイバースペースへの移行要因を明らかにした。 2)サイバー喚起行動分析への拡張:サイバー空間を通じたSNSの情報提供を通じての行動喚起など、買い物などの生活基本行動に留まらない幅広い活動に対し、サイバー空間がどのような意味を持ちつつあり、またそれが今までの実空間での活動にどう相互作用を持っているのか、その研究展開を議論するとともに、あわせてネット上の情報提示手法についても実態調査とその吟味を実施した。
|